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妊活中の女性に禁忌の精油

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  • 投稿の最終変更日:2022-04-16
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「妊孕性(妊娠する力)とアロマセラピーの明確な関連性について科学的な根拠はない」

先日のセミナー(国際メディカルセラピー研究会)にて報告されました。もちろん、これは妊娠を望む方にアロマトリートメントや精油を使用することがムダであるという、短絡的な意味ではありません。私たちセラピストの目的は、「クライアントを妊娠させること」とは異なるところにあります。

ただし、逆の文献、すなわち避妊作用とアロマセラピーの関連性については、症例報告レベルですがいくつかあります。

βミルセン
0.25g/kg以上のβミルセンを妊娠中に経口摂取させると、ラットの受胎能力や産子数、胎子の発達に障がいをもらたすことが確認された。(Delgado et al. 1993)

フェノールメチルエーテル類
とくに、フェンネルやアニスに含まれるアネトールはエストロンやエストラジオールに関与する物質である。アネトールの作用はエストロンのそれよりも軽度であり、マウスよりもラットにおいて、より大きな影響がある。
トランスアネトールは少ないながらもエストロゲン様作用を有している。(Zondeck and Bergman 1938)

アピオール
ディルに含まれるアピオールに関する動物実験で、最大容量(具体的な数値は不明)で出血、肝臓障害、流産が見られた。(Patoir et al. 1936)また3ヶ月間無月経だった女性が高容量摂取して死亡した。その他、過剰摂取で中枢神経系への影響がある。(Lowenstein and Bsllew 1958)

(引用:Maria Lis-Balchin Aromatherapy Science 115)

最初のミルセンは、モノテルペン系炭化水素で、グレープフルーツなどの柑橘系やジュニパーベリー、ティートリーなどいろいろな精油に含有されます。
ただ、無理矢理ですがラットをヒトに置き換えて単純に計算すると「体重50kgの人が62.5g ≈1250滴の精油を飲む(※ミルセンが20%含有の精油Aと仮定して)」ことになるわけで、これは例えるなら、しょう油をごくごくと100本位飲み干すような、常識ではあり得ない量を摂取しています。
一般的な使用濃度、頻度であれば、それほど恐れる成分ではないのかな、と感じています。

フェンネルやアニスに含まれるアネトール、トランスアネトールについては、エストロゲン様作用があるので、人工授精後や胚移植後など妊娠している可能性のあるときは禁忌にした方がよいと思います。
フェンネル・アニスはともに「強力な精油」ですので知識なく使用することは厳禁です。

アピオールは整腸作用や月経不順などに有用とされている成分で、精油ではパセリシードなどに含有されています。
中世ヨーロッパでは「中絶」目的で服用されたりしたそうです。パセリシードもアロマセラピストでない方は安易に使うことはお勧めできない精油です。

その他、流産誘発作用にはカンファーなどもあります。また遺伝毒性、神経毒性を示す精油にも要注意です。

(このコラムは2015年11月に執筆しました)