原田 香 経歴

イギリスと日本での経験

イギリスにてITECの国際資格を取得。さらに知識を深めるために、ロンドンのSt. Mary’s Universityなどで補完代替療法を2年に渡り学びました。

イギリスと日本のサロン・スパ、そして産婦人科・緩和病院などの医療機関で臨床経験を積み重ね、病院内のメディカルサロンの立ち上げ、コスメブランドや外資系ホテルスパでのマタニティトリートメント導入・技術指導にも携わっています。

2009年からおこなっている講座には、これまで1000名程のセラピストの方が受講されました。受講前には「妊婦さんは不安」と言っていた方が、今ではマタニティトリートメントがサロンの看板となったり、産婦人科でセラピストとして活躍する方もたくさんいます。

産婦人科チームとしてのアロマケア

私は現在も産婦人科にて現役セラピストとして、日々妊産婦さんのケアに携わっています。

私のいる産婦人科では、とてもご理解のある医師と助産師の方々に恵まれ、私たちセラピストもチームの一員として迎えていただき、ドクター指導の下、医療を補完する形でケアを行っています。産前・産褥・産後のトリートメントはセラピストチームとして1万症例あります。

また、日本では非常に稀なセラピストによる分娩期のケアもおこなっています。陣痛から赤ちゃんの誕生までの間ずっと、助産師とは違った立場から、産婦の心身をサポートをします。陣痛の経過に応じた手技、精油の薬理作用、呼吸法などで寄り添い、痛みと不安感の緩和を図ります。 時には医師の管理下で、妊娠中の禁忌と言われる経穴・反射区・精油を積極的に活用することもあります。 その結果、どのように分娩が進行するのかなどは、講座でお話ししています。

そしてこの分娩期のアロマケアは、2022年で1,500例あり、医療者や産婦の方々から高く評価されています。VAS法を用いて鎮痛鎮静効果を研究した小稿はフレグランスジャーナル社aromatopia(No.133)にてご覧いただけます。

このような分娩期のケアをする非医療者を「出産ドゥーラ」と呼び、アメリカでは職業として成り立ちます。私はニューヨークとシアトルにて学び、Penny Simkin先生方より直接ご指導賜り、氏が設立メンバーである国際北米ドゥーラ協会 DONA International にて出産ドゥーラとして認定されています。(Simkin先生は、今では日本でも当たり前になった「バースプラン」の生みの親でもあります)

リスクとベネフィット

当スクールの講座は、15年間の産婦人科での臨床と、論文・データに基づくエビデンス、そして医師・助産師からの助言を基盤としています。それらを講座に落とし込むためには、100人、200人の症例数では分からなかったことが、長い年月と経験を経て、ようやく妊産婦ケアをお伝えすることができるようになったと感じています。

マタニティトリートメントはまず安全を第一優先に考えます。元気で健康な妊婦さんであっても、妊娠しているということは、「ノーリスク(NO-Risk)」ではなく「ローリスク(LOW-Risk)」です。

講座ではリスクマネジメントを知り、禁忌症状をセラピスト自身がしっかりと見極める力をつけることを重要視しています。その上で、効果的なトリートメントができるようにしていきます。

当然ながら、当トリートメント手技が原因となる流産早産などの事故はこれまで1件もないことを改めて明記しておきます。

自然療法と科学的思考

私は、筑波大学医学群(国際看護学)の先生の下、周産期に係る文献管理の研究助手の経験から、エビデンスのない療法の危険性を危惧しているセラピストの一人です。

アロマセラピーをはじめとする民間療法・自然療法は、その効果の多くが伝承ベースや経験則であり、療法としてはまだ発展途上の段階です。

そこで更なるステップとして、私たちセラピストが科学リテラシーを養い、科学的思考で自然療法を用いて語ることができるようになること目標の一つとして掲げています。

多くの女性のQOL向上に正しく貢献できるセラピストがどんどん増えていくことを願っています。