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乳腺炎予防のためにセラピストができること

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  • 投稿の最終変更日:2022-04-16
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先日、産後アロマトリートメント講座で「乳腺炎」のお話になりました。受講生6人中、なんと3人が乳腺炎になった経験があるとのこと。

皆さんに発症までの経緯をうかがうと、「おもちを食べたから」「ケーキを食べたから」と、一様に食べ物が誘因して発症したとおっしゃっていました。

この、「食べ物による乳腺の詰まり」説は誰しも聞いたことがあると思います。

よく耳にするのは「乳製品や脂肪分の多い食事はおっぱいが詰まりやすいから、和食の粗食がオススメです」という推奨でしょうか。助産師さんからそのように指導を受けた方も多いと思います。

ところが実はこれは医学的には根拠がないと否定されています。

「特定の食物がヒトにおける乳腺炎のリスクであるというエビデンスはない」
Academy of Breastfeeding Medicine臨床プロトコル2014

要は、「ケーキを食べても、粗食を食べても、乳腺炎を発症する人はするし、しない人はしないよ」ということです。

厚生労働省発行の「妊産婦のための食事バランス」によると、乳製品を含むすべての栄養素からバランス良く摂取することがが母乳育児にはよいとされています。

それでは何が原因で乳腺炎になるのでしょうか。

産婦人科医と小児科医の共著による「らくちん授乳BOOK(宋美玄・森戸やすみ著、内外出版社)」によると、

  1. 赤ちゃんの飲み残しで乳房に母乳が大量に残っている
  2. 下着や抱っこ紐などによる締め付けや圧迫
  3. 授乳姿勢が不適切
  4. お母さんの疲れや肩こり

とあげられていました。

このうち最もリスクが高いのは1番の飲み残し。これについて、お母さんができる具体的な解決方法としては、授乳後に搾乳する他、授乳回数を増やして詰まっている側の乳房からあげたり、しこりのある部位に対して赤ちゃんの下顎か鼻が来るような姿勢で抱いたり、授乳中にしこりの部位を乳頭に向かってドレナージュする、などの方法があります。また腋窩リンパ節に向かって組織液をドレナージュすることも有効だと思われます。(Academy of Breastfeeding Medicine臨床プロトコル2014

以上を踏まえた上で、では具体的に、私たちにできることは何があるでしょうか。

  • 深いリラクゼーションのトリートメント
  • 肩こり緩和のためのアプローチ
  • 乳輪から腋窩にむかって、優しい圧(皮膚の上を滑らせる程度の弱圧)でドレナージュ
  • 骨盤ベルトなどで無理に締め付けないようアドバイス
  • 食事は「これを食べたらダメ」ではなく、「すべての栄養素からバランス良く」アドバイス

などがエビデンスに基づいた効果的なセラピーになると考えられます。