お母さんのお腹の中にいるときの赤ちゃんは、私たちとは違う血液の流れをしています。
これは肺呼吸できない赤ちゃんが、いかに効率よく酸素を全身に届けられるかを図ってのこと。
胎盤を通して、お母さんからもらった酸素の入った動脈血は、臍静脈、下大静脈を通って、赤ちゃんの心臓まで辿り着きます。途中の肝臓はスルー!(栄養はお母さんの肝臓で代謝解毒しているので赤ちゃんの肝臓を通る必要がない)
通常、心臓での血液の流れは、右心房→右心室を経て肺動脈から肺に入ってガス交換をおこないますが、お腹にいる赤ちゃんは肺でガス交換はできないので肝臓同様、肺も極力スルーしたい。
よって、右心房から左心房に行くショートカットの穴(卵円孔)を通り、そこから左心室を経て大動脈に流れ込み、全身にすばやく酸素を配ります。
中には卵円孔を通らず、右心室に流れる血液もありますが、ここでもまた肺を極力スルーするために、大人にはない動脈管なる管を通って肺動脈から直接大動脈に流れ込みます。(肺も自身が生きていくために血液は必要なのでちょっとは流れます)
そして、隅々まで巡った血液は、螺旋状にくるくるしている細い2本の臍動脈を通って、胎盤に帰ります。
家に帰るまでが遠足、胎盤に帰るまでが胎児循環です。(いや、胎盤も含めての胎児循環だから、家に着いても遠足か、、)
まさにお母さんと赤ちゃんのみごとなユニットですね!
赤ちゃんのためにも、妊婦さんには気づいたときに深呼吸をしてみることをお勧めしてください。深呼吸はリラックスもできるし!
追記
オギャーと生まれて肺で呼吸をはじめると、これらの穴や管は閉塞します。あと生まれてきたときに赤ちゃんのお尻をペンペンして呼吸を促していたのは、もう何年も前のお話で、今はそのような暴力的なことを赤ちゃんにしないです。
イラスト:看護roo、イラストAC