ルイボスが妊婦さんにはあまりお勧めではないハーブティーという研究報告が出て以来、
「で、結局マタニティトリートメントではどのハーブティーがお勧めなんでしょうか?!」
というご質問をいただくようになったのでこの機会に調べてみました。たどり着くまでがすごーく長いです。笑
最初にお断りしておきますが、私はアロマセラピストなのでハーブは門外漢です。精油とハーブって似て非なるものなので、禁忌も全然違うんですよね。なので私のうっすーい知識ではなく、専門機関から出ている2024年11月現在の情報を元に考えました。
まず妊娠中、禁忌のハーブについて調べると、、
アメリカのNational Center for Complementary and Integrative Health(NCCIH:国立補完統合衛星センター)が提供している情報を日本の厚生労働省eJIMが翻訳したサイトによると以下のとおりでした。
- アロエベラ
- 高麗人参
- ゲンゲ属(キバナオウギなど)
- バターバー
- チェストベリー
- シナモン:大量は禁忌
- エフェドラ(マオウ)
- セイヨウヤドリギ
- フェヌグリーク
- フィーバーフュー(ナツシロギク)
- アマニ(亜麻仁油)
- イチョウ
- ゴールデンシール
- 緑茶:6杯/日を超えたら禁忌
- セイヨウトチノキ(マロニエ):生は禁忌
- カバ
- クラトム(アヘンボク)
- リコリス(カンゾウ根)
- オウシュウヨモギ(マグワート)
- ノニ
- パッションフラワー
- レッドクローバー
- セージ
- ノコギリヤシ
- ダイズ
- セントジョーンズワート
- ライコウトウ(サンダーゴットバイン)
- ウコン:大量は禁忌
- ヨヒンベ
実はこれ、「妊婦さんには禁忌」という一覧になっていなくて、一つ一つページを読み込んで行ったので(泣)、漏れがある可能性もあることをご容赦ください。そしてこれ以外のハーブは安全とは書かれていなくて「まだよくわかっていない」という位置付けでした。
NCCIHではHerb Listというスマホアプリ(英語)もあります。各ハーブごとにエビデンスに基づく効果や妊娠中の使用についての注意事項も書かれています。詳しくお知りになりたい方はダウンロードしてみてください。
これでちょっと驚いたのが亜麻仁油です。「中期以降に摂取すると早産のリスクが高まることが示唆されている」とありました。亜麻仁油などのオメガ3系脂肪酸は赤ちゃんの脳の発達を助けるので妊娠中は積極的に摂取したい栄養です。「妊娠中にオメガ3系を摂るとネグレストを軽減させるかも」という富山大学のおもしろい研究もあります。
なのでオメガ3系は亜麻仁油ではなく、エゴマや青魚などからが摂取するのがよいということでしょうか。(いやみんな普通に勧めているけど、、)
トリートメントでキャリアオイルにフラックスシード油(亜麻仁油)をブレンドしているセラピストさんがいたら、妊婦さんにはリスクを超えるベネフィットがない限りはあえて使用する必要はないと思いました。
そしてさらに続きます。
The University of Texas at El Paso(テキサス大学エルパソ校)のSchool of Pharmacy が「妊婦さんに禁忌のハーブ一覧」を公開しています。
→Herbs to avoid during pregnancy
ただこれを見るとNCCIHとは禁忌のハーブが異なるのです。もうこれを調べ出したら魔境に入る覚悟。
- ヤロウ
- ブラックコホシュ
- メイデンヘア
- レディマントル
- アンジェリカ
- チャイニーズアンジェリカ
- カモミール(ローマン、ジャーマン)
- ワームウッド(ニガヨモギ)
- ナズナ
- ゴツゴラ(センテラ)
- ダチュラ(チョウセンアサガオ)
- ワイルドヤム
- オシダ
- アリタソウ
- フェンネル
- ハルパゴフィツム・プロカンベンス(ライオン殺し)
- ホップ
- ジュニパーベリー
- マザーワート
- ヒメサルダヒコ
- ペニーロイヤル
- モンタノア・トメントーサ
- タバコ
- バジル
- オレガノ
- アメリカニンジン
- ボルド
- カスカラサグラダ
- ルバーブ
- ヒマシ油
- ローズマリー
- ルー
- コンフリー
- ラパチョ
- ダミアナ
- キャッツクロー
ふ〜
NCCIHと重複しているものは除外しました。和名や日本での一般的な名称は合っているか不安です。
エルパソ(アメリカとメキシコの国境)という立地からおそらくヒスパニック系の方向けの情報で、日本人には馴染みのないハーブが多いことに途中で気づきましたが気づかないふりをしました。
そしてここで振り出しに戻る。
「で、結局妊婦さんには何がお勧めなの??」
となりますよね。
そこで上の禁忌を考慮しつつ、「メディカルハーブ安全性ハンドブック」でクラス1(適切に使用すれば安全に摂取できるもの)に分類されているハーブを主に、私チョイスの妊婦さんにお勧めなものをあげてみました。
- レモンバーベナ(精神の安定)
- マシュマロウ(喉のイガイガ)
- ネトル(浄化、利尿、貧血)
- ダンディライオン(デトックス)
- ペパーミント(リフレッシュ、吐き気、消化)
- スペアミント(リフレッシュ、吐き気、消化)
- クリーバーズ(リンパ系デトックス)
ジンジャー←※修正11/4/2014- ローズヒップ(美肌、貧血)
- ハイビスカス(疲労回復)
- ゴボウ(便秘、血糖値・血圧改善)
- オーツ麦(滋養強壮)
- カレンデュラ(粘膜の治癒)
- パパイヤ(消化促進)
- 柑橘類(元気をもたらす)
- エキナセア(風邪・インフルエンザ予防)
- ストロベリー(葉)(リラックス)
- 梅(未熟な果実部)(疲労回復)
- エルダーベリー(風邪・インフルエンザ予防)
- エルダーフラワー(風邪・インフルエンザ予防)
- リンデン(安眠)
- コーン(利尿・整腸)
- ステビア(甘味、血糖値改善)
※(カッコ)内は代表的な機能性作用ではありますがエビデンスレベルが低いものも含まれます
甘味はリコリスがNGなのでステビアですね。ピーチ(桃)はメディカルハーブ安全性ガイドブックによると妊婦さんには禁忌でした。
最後に摂取量ですが、イギリスのNational Health Service(NHS:国民保健サービス)によると、
ハーブティーが赤ちゃんの発育に及ぼす影響について十分な証拠がないので、1日4杯以上は飲まないでください
とありました。たとえ安全だと言われているハーブであっても過剰摂取はしない方がよいということ。これはアロマセラピーも一緒ですね。
サロンでお出しする1-2杯なら心配なく召し上がっていただけそうです。
<受講生の皆様:加筆11/4/2024>
個々のご質問が多いので整理しました。
ハーブティーとしてごく一般的に飲用されているハーブを「禁忌なもの」と「安全なもの」にまとめました。ジャスミン、レモングラス、五味子茶など上記に列記されていないものも含まれます。ジンジャーの注意点もあります。
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参考文献
- 厚生労働省「統合医療に係る情報発信等推進事業」>海外の情報>ハーブ
- NCCIH “Herbs at Glance”
- The University of Texas at El Paso “Herbs to avoid during pregnancy”
- NHS inform “Eating well in pregnancy”
- メディカルハーブ広報センター監修 “メディカルハーブの安全性ハンドブック”3版 東京堂出版
- 妊娠中のオメガ3系脂肪酸摂取量が多いと出産後の不適切養育行動が軽減 富山大学プレスリリース 2021.3.8