※↑厚生労働省「風疹の抗体検査を受けましょう」啓発ポスター
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ここ最近、日本では麻疹の流行が報道され、海外ではエボラ出血熱やハンタウイルス感染症のニュースも耳にします。さらに福岡では、“原因不明の風邪症状”が広がっているという話題もありました。
妊娠中は、一般の人なら軽く済む感染症でも、重症化のリスクにつながることがあります。
よく「妊娠中は免疫力が下がる」と言われますが、実は病気による免疫低下とは少し異なります。
病気の場合は、免疫細胞そのものが減少し、防御機能が低下しています。
一方、妊娠中は免疫細胞が大きく減っているわけではありません。
赤ちゃんを異物として攻撃しないように、免疫システムの働き方やバランスが変化している状態なのです。
具体的には、こんな変化があります。
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❶ 細胞性免疫が弱まりやすい
妊娠すると、免疫細胞の「ウイルスや細菌を攻撃して排除する力」が抑制されます。
なぜなら「半分は父親由来の細胞」である胎児は、お母さんの身体にとっては最大の異物になるので、お母さんが拒絶しないためです。
ただその結果、
・風邪
・インフルエンザ
・コロナ
・胃腸炎
などにかかると、重症化しやすい傾向があります。
なので、「免疫力を上げれば全部解決!」という話ではないし、残念ながら、白湯飲んでも免疫力は上がりません。(隙あらば白湯を攻撃する…)
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❷ 粘膜の防御力が変わる
妊娠中はホルモンの影響で粘膜がむくみやすく、血流も増えます。
そのため、
・鼻炎
・歯肉炎
・膣炎
・カンジダ
などが起こりやすくなります。
特にカンジダは衛生面より、ホルモンや免疫バランス変化の影響がかなり大きいです。
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❸ 炎症を抑える方向へ傾く
妊娠維持のため、身体は「炎症を起こしすぎない」方向へシフトします。
そのため、
・傷の治り方
・アレルギー反応
・自己免疫疾患
などにも変化が出ます。
例えば、
・関節リウマチは妊娠中に軽快する人がいる
・一方で喘息やアレルギーが悪化する人もいる
など、人によってかなり差があります。人体は本当に複雑です。
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❹ 免疫だけではなく、“物理的に弱る”
これも意外と重要です。
妊娠中は、
・横隔膜が押し上げられる
・肺活量が変わる
・心拍数増加
・酸素消費量増加
などが起こるため、呼吸器感染症に弱くなります。
つまり、「免疫の変化+身体への負担増加」がセット。そのため妊婦さんが感染症で重症化しやすいのは、免疫だけの問題ではありません。
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妊娠中の免疫バランスは、時期によっても変化します。
ざっくりいうと、
・初期:着床維持のため免疫調整が大きい
・中期:比較的安定
・後期:出産に向け再び炎症反応が増える
という流れがあります。
出産はある意味、“炎症反応を利用した大イベント”でもあるので、後期は再び免疫・炎症バランスが変化していきます。
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セラピスト視点で大切なのは、「妊娠中、免疫力を上げよう!」という単純な話ではないという理解。
妊娠中の身体は、赤ちゃんを攻撃せず、なおかつ感染からも身体を守るという、とても繊細なバランスを取っています。
なので、そのため大切なのは、“免疫を強くする”ことよりも、”妊婦さんの身体が正常に働ける状態を保つ”ことです。
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それを踏まえた上で、免疫機構たちがバランスよく働くために、セラピストが栄養面でアドバイスをするなら、
① タンパク質(免疫細胞や抗体の材料)
・卵
・魚
・鶏肉
・豆腐
・納豆
・ヨーグルト
② ビタミンD(免疫調整に関わる栄養素)
・鮭
・いわし
・卵
・きのこ類
・日光浴(短時間でも)
③ 鉄(妊娠中は不足しやすい)
・赤身肉
・レバー(摂りすぎ注意)
・あさり
・小松菜
④ 亜鉛(免疫細胞の働きに重要)
・牡蠣
・牛肉
・卵
・ナッツ
・大豆製品
⑤ 腸内環境を整える食材
・発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルト)
・食物繊維(海藻、野菜、きのこ)
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繰り返しになりますが、「○○を食べて免疫力を上げよう!」という単純なコトではありません。
発酵食品はもちろん身体によいものですが、だからといって感染症を予防できるわけではありません。
たとえば、ウイルスを持った人が目の前で盛大にくしゃみをしたら、さすがの腸内細菌にも限界があります。
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なので何より大切なのは、私たちセラピスト自身が感染源にならないこと。
・体調管理を意識する
・手指消毒や換気、リネン類の管理を丁寧に行う
・体調不良のときは、無理して施術に入らず、お断りする勇気を持つ
そんな小さな積み重ねが、妊婦さんやそのご家族を守ることにつながっていきます。
参考文献
- 病気がみえる産科 vol.10
- 厚生労働省 感染症情報
- 日本産科婦人科学会(JSOG)