マタニティトリートメントを学ぶときには、妊娠中の禁忌の経穴(ツボ)や反射区(リフレクソロジー)について、必ず学びます。おそらく、当スクールだけではなく、多くのスクールで同じように教えられていることだと思います。
でも、ちょっとビックリなことに、「禁忌の経穴を刺激したから、流産・早産になる」「刺激したから陣痛が起こる」という明確なエビデンスはないんです。
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妊娠中に禁忌とされている経穴については、ざっと調べただけでもさまざまな研究があります。
2019年には、「妊娠中の禁忌穴」とされている経穴を実際に使用した無作為化比較試験を対象にした、システマティック・ナラティブレビューが発表されています。
このレビューでは、妊娠37週未満の女性を対象に、いわゆる禁忌穴を使った8件の研究、713人について検討しています。
ただ、早産につながるような子宮収縮について報告していた研究は2件しかなく、それも十分なデータがなかったため、明確な結論を出すことはできませんでした。
そのため、このレビューの結論は、
「妊娠37週未満で禁忌穴を積極的に使用することを勧めるには、現在のエビデンスは不十分」
というものでした。
また、別のレビューでも、禁忌穴への鍼刺激を受けた妊婦について、流産や早産などの発生率が、対照群や一般的に予想される発生率と比べて高いという客観的な証拠は確認されていません。
まとめると、このツボ押したら、「はい、陣痛!」とはならないっぽいけど、よく分からないから、とりあえずやめとこ。ということです。
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では、なぜマタニティトリートメントではあんなに刺激しないように言われているのでしょうか。とりあえずやめとこ。レベルの話なのに。
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で、ここからは、当スクールの考えになります。
今回は科学的な思考ではありませんが、妊娠中の身体をどう捉え、施術にどう向き合うかという、私たちなりの身体観です。
経穴や反射区への刺激は、薬を飲んだときやオペを受けたときのように、「この刺激をしたら、この反応が起こる」というものではありません。
東洋医学や自然療法は、刺激によって、「身体が本来持っている力を引き出す」という考え方があります。
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妊娠中の身体には、妊娠を維持し、胎児を育んでいくためのさまざまな生理的な働き、すなわち身体が本来持っている力があります。そして、出産の時期が来れば、今度は身体が出産に向かって変化していきます。
私たちは、こうした生理的な働きを、あえてわかりやすく、
妊娠中は「妊娠を維持する力」
出産の時期には「産む力」
と表現しています。
これは、医学的な専門用語ではありませんし、身体の中の一つの力がすべてをコントロールしている、という意味でもありません。
さまざまな生理的な仕組みが関わっているものを、私たちなりにわかりやすく表現している言葉です。
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妊娠中の身体には、その時期に合わせた変化があります。
まだ赤ちゃんが生まれる時期ではないときに、あえて「産む方向」に働きかける必要はありません。だから私たちは、妊娠中は禁忌とされる経穴や反射区への刺激を避けるようにしています。
「産む力」を急がせない。
そして、妊娠が十分に進み、いつ出産になってもよい時期になったとき、そのときには、その人が本来持っている「産む力」を邪魔せず、必要であればそっと応援するように刺激をしていく。
身体が本来進もうとしている方向を尊重する。
私たちは、経穴や反射区への刺激を、そのように考えています。
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セラピストの勉強では、
「妊娠中は、この経穴は禁忌」
「この反射区は刺激しない」
と覚えることが多いと思います。
それに加えて、
「なぜ避けるのか。」
「何がわかっていて、何がまだわかっていないのか。」
そして、「妊娠のどの時期なら、その考え方が変わるのか。」
そこまで考えて初めて、「禁忌」という言葉の意味が見えてくると思います。
私たちが大切にしているのは、単に「禁忌だから触らない」ということではありません。
その人の身体が自分の力で妊娠を維持して、出産へ向かっていくことを尊重する。
それが、私たちが考えるマタニティトリートメントです。
<参考文献>
・Using Forbidden Points in Pregnancy: Adverse Outcomes and Quality of Evidence in Randomized Controlled Trials-A Systematic Narrative Review
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31871522/
・The safety of acupuncture during pregnancy: a systematic review
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24554789/