原田 香 経歴

Kaoru Harada

イギリスと日本での経験

イギリスにてITECの国際資格を取得。さらに知識を深めるために、ロンドンのSt. Mary’s Universityなどで補完代替療法を2年に渡り学びました。

イギリスと日本のサロン・スパ、そして産婦人科・緩和病院などの医療機関で臨床経験を積み重ね、病院内のメディカルサロンの立ち上げ、コスメブランドや外資系ホテルスパでのマタニティトリートメント導入・技術指導にも携わっています。

2009年より開講している講座には、これまで1,300名のセラピストが受講されています。受講前は「妊婦さんへの施術は不安」と話されていた方が、現在ではマタニティトリートメントをサロンの看板メニューとして活躍されていたり、産婦人科でセラピストとして活動されているケースも少なくありません。

産婦人科チームとしてのアロマケア

私は16年間、産婦人科にてセラピストとして妊産婦さんのケアに携わってきました。

勤務していた産婦人科では、とても理解のある医師や助産師の方々に恵まれ、私たちセラピストもチームの一員として迎えていただきながら、医師の指導のもと、医療を補完する形でケアを行っていました。産前・産褥・産後のトリートメントは、セラピストチームとして1万症例以上。

2025年に還暦を機に現場を卒業しましたが、今なお、その経験は私にとって大切な財産となっています。

また、日本ではまだ珍しい、セラピストによる分娩期ケアにも携わってきました。

陣痛が始まってから赤ちゃんの誕生まで、助産師とはまた違った立場から、産婦さんの心身に寄り添いながらサポートを行います。陣痛の経過に合わせた手技や呼吸法、精油の特性を活かしたケアを通して、不安感を和らげ、少しでも安心して出産の時間を過ごしていただけるよう関わってきました。

時には医師の管理のもと、一般的には禁忌といわれる経穴・反射区・精油についても、状態を見極めながら活用する場面があります。そのような産婦人科現場での実際の経験や、現場だからこそ感じたことなども、講座の中でお伝えしています。

そしてこの分娩期のアロマケアは、2025年で1,700例あり、医療者や産婦の方々から高く評価されています。VAS法を用いて鎮痛鎮静効果を研究した小稿はフレグランスジャーナル社aromatopia(No.133)に掲載されました。

このように、出産時に産婦へ寄り添う非医療者のケアは「出産ドゥーラ」と呼ばれ、アメリカでは一つの専門職として確立されています。私はニューヨークとシアトルにて学び、故Penny Simkin先生より直接指導を受け、同氏が設立メンバーである国際北米ドゥーラ協会 DONA International にて出産ドゥーラとして認定されています。なお、Simkin先生は、今では日本でも当たり前になった「バースプラン」の生みの親としても知られています。

リスクとベネフィット

当スクールの講座は、16年にわたる産婦人科での臨床経験と、論文・データに基づくエビデンス、そして医師・助産師からの助言を基盤としています。

100人、200人という症例数では見えてこなかったことも、長年にわたり妊産婦さんと向き合う中で、少しずつ理解が深まっていきました。現場で積み重ねてきた経験を通して、ようやくお伝えできることがあると感じています。

マタニティトリートメントでは、まず何よりも「安全性」を第一に考えます。

一見元気で健康に見える妊婦さんであっても、妊娠は「ノーリスク(No Risk)」ではなく、「ローリスク(Low Risk)」という考え方が基本になります。

だからこそ、“なんとなく大丈夫”ではなく、身体の変化を理解したうえで、安全性と心地よさの両立を目指したケアが大切だと考えています。

講座ではリスクマネジメントを知り、禁忌症状をセラピスト自身がしっかりと見極める力をつけることを重要視しています。その上で、効果的なトリートメントができるようにしていきます。

当然ながら、当トリートメント手技が原因となる流産早産などの事故はこれまで1件もないことを改めて明記しておきます。

自然療法と科学的思考

私は、筑波大学医学群(国際看護学)の先生のもとで、周産期に関わる文献管理の研究助手を経験したことから、エビデンスの乏しい療法を安易に扱うことには慎重であるべきだと考えているセラピストの一人です。

アロマセラピーをはじめとする民間療法・自然療法は、伝承や経験則によって受け継がれてきたものも多く、まだ科学的検証が十分とはいえない分野でもあります。だからこそ私たちセラピストには、科学リテラシーを養い、自然療法を感覚だけではなく、科学的視点も踏まえて捉える姿勢が大切だと考えています。

多くの女性のQOL向上に、正しい知識と安全性をもって貢献できるセラピストが増えていくことを願っています。