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アロマで妊娠線予防はできるのか

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  • 投稿の最終変更日:2022-06-14
  • 投稿カテゴリー:blog

「妊娠線予防のための精油を教えてください!」というご質問をたまにいただくことがあります。

ながーいブログになりそうなので、結論を先に言っておくと、「ないです…」なんです。

妊娠線とは、妊娠中にできる肉割れで、お腹、乳房、太もも、お尻などにできやすいです。
お腹が大きくなるにつれて、皮膚の表皮は伸びますが(近年の研究では、妊娠期には表皮の奥に、表皮幹細胞を起源とする高い増殖能を持つ細胞集団が出現することが発見されています)、その下の真皮層は伸び切ることができずに断裂してしまいます。

で、伸びた皮膚の下の毛細血管が透けて見えている状態なので、妊娠中は赤みを帯びています。まぁよく目立ちます。

なんで真皮は表皮のように頑張って伸びてくれないのか、と恨みたいところですが、妊娠中は、コルチゾール(ステロイドホルモン)の分泌が増えていて、それが真皮層の弾性(エラスチンやコラーゲン)にダメージを与えているのです。

他にも、遺伝的な要因もあるらしい。

妊娠線が出現したからと言って、赤ちゃんや母体に医学的問題がおこるわけではないのですが、かゆみを伴ったり、赤く目立つ見た目にショックを受けたりなど心理的にQOLは明らかに下がりますよね。

そのためには予防をしたいところですが、残念ながら100%の予防策はありません。
言われている対策といえば、体重管理と保湿などのスキンケアですが、これもやらないよりやった方がいいよね、レベルの差です。

巷で「妊娠線予防クリーム」と称して販売されている商品の中で、確かな根拠が得られたものはないですが、こちらによると成分的には下記のものが有効だそうです。

1レチノイド/ビタミンA
2ヒアルロン酸
3センテラ(ツボクサ/ゴツコラ)
4ビターアーモンド

ただし、1のビタミンAは飲用の場合、過剰摂取による催奇形性が認められているので、外用でもあまり積極的には勧められていません。産後のできてしまった後のケア用ですね。

3のセンテラですが、精油はありませんが、ハーブとしては伝統的な植物。韓国コスメのCICAクリームの主成分でもあります。

そして、4のビターアーモンドについてが、ようやく精油のお話になりました。

アーモンドは品種によって、「スイートアーモンド」と「ビターアーモンド」に大別されます。
私たちアロマセラピストにとって、スイートアーモンドはキャリアオイルとして馴染み深いですが、あまり耳馴染みのないビターアーモンドからは実は精油が採取できます。

●ビターアーモンド Prunus dulcis (Mill.) var. amara
<成分>
ベンズアルデヒド 95%
シアン化水素酸(=青酸) 2-4%

「青酸」は昭和のドラマで有名な「青酸カリ」とは異なりますが、毒性の強い成分で、この精油で過去には死亡例も多くあり、現在は流通されていません。
この青酸を抜いたアーモンド(FFPA)もありますが、これも日本では一般的には入手できません。ビターアーモンドエッセンス(香料)は売られていますが、精油とは別物です。

というわけで、冒頭の「ないです…」という答えにつながります。

もしどうしても精油で、、ということなら、エビデンスレベルとしては低いですが、細胞成長促進作用のある精油を選択してみるのはどうでしょうか。0.5%希釈で同じ精油は2週間までとします。

●細胞成長促進作用
フランキンセンス、ネロリ、サンダルウッド、ゼラニウム、ラベンダーなど

<参考文献>
K Korgavkar, Stretch marks during pregnancy: a review of topical prevention
精油の安全性ガイド第2版 フレグランスジャーナル
京都大学ウイルス・再生医科学研究所 妊娠期に腹部の皮膚が広がる仕組みの一端をマウスで解明