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マタニティトリートメントとコロナ感染

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  • 投稿の最終変更日:2024-01-26
  • 投稿カテゴリー:blog

下記ポストは2023年1月時点のもので、今また異なる見解(論文)も出ています。

たとえば→https://www.nature.com/articles/s41467-023-44549-5

超超要約すると、無症状/軽症の妊婦さんでも胎児に影響して肺疾患(Respiratory distress)を引き起こす可能性あり。ワクチンをするとそのリスクが下がるよ、という内容です。2024.1.26加筆


前回の投稿からかなり間が開いてしまいました。

密かにこの妊産婦ケアブログを「楽しみにしています!」とおっしゃってくださる稀有な方もいらっしゃるのに、ぜんぜんアップできずにお恥ずかしい限りです。

書きたい情報はいろいろとあるのですが、ずっとずっと書きたかった「コロナと妊婦」について、「妊婦さんは感染しやすいの?」「感染したどうなるの?」などの疑問から、最終的に「コロナが治ったらマタニティトリートメントはやってもいいの?」を導いていきたいと思います。

ただし、withコロナの現時点での情報による私個人の考えになりますことをまずはお断りしておきます。

日本産婦人科学会 周産期委員会の「日本におけるCOVID-19妊婦の現状」レジストリ解析(2023年1月17日付)に基づいて、主にオミクロン株に変わった後(2021年11月21日以降)について書いていきます。

 


 

◎傾向

  • 第5波(2021年11月以前のデルタ株)までと比べて、第6・7波(2021年11月以降のオミクロン株)では妊婦さんがコロナに罹患しても95%以上が軽症
  • 第7波は重症は0人
  • 「妊婦だから」という理由で感染しやすくなることはなく、全体の感染者数に比例する

◎症状

  • 呼吸苦や倦怠感などは減少して、発熱、咽頭痛(のどの痛み)、咳が主な症状

◎合併症

たとえ、中等Ⅱ、重症でも、

  • 流産・死産の増加はない
  • 赤ちゃんの発育不全の増加もない
  • 妊娠性高血圧症、糖尿病などの増加もない
  • 切迫は増加
  • 後述する分娩方式のせいで早産(36週までに出産)も多い

◎分娩方式

軽症・中等Ⅰは、

  • 妊娠36週まで:軽快後に通常通りの分娩(基本は経膣分娩で、逆子などは帝王切開)
  • 妊娠36週以降:38%が帝王切開、残りは36週までと同様
  • ちなみに第5波までは60%が帝王切開

中等Ⅱ・重症は、

  • 妊娠36週まで:重症でなければ待機して軽快後に通常通りの分娩、重症化傾向にあれば早期に帝王切開
  • 妊娠36週以降:多くが帝王切開

◎ワクチン

  • 1回以上の接種者に中等Ⅱ・重症者はいない

 

第5波の最中、コロナに感染した妊婦さんの受け入れ先がなく、赤ちゃんがなくなってしまうという痛ましい事故がありました。しかし、オミクロン株に変わってからは、95%以上のほとんどの妊婦さんは感染しても軽症で済むようになりました。(まぁ軽症といえども辛いケースもありますが、、)

流産や死産が増えることもなく、赤ちゃんの発育にも心配ないようです。ただし、中等Ⅱ・重症になると切迫が増える傾向にあります。

そして妊娠中のワクチン接種も重症化しない大きな要因の1つのようです。

また、分娩方式が「36週」で分かれるのは、37週以降が正期産と言って、いつ産まれてもいいよという時期に入るためです。

これらのことを踏まえて、「妊娠中にコロナに感染した方へのマタニティトリートメントは治ったらやっても大丈夫ですか?」という疑問に対しては、

1、軽症であったこと

2、36週までに快復していること

3、事前に主治医に相談すること

4、他に禁忌となる症状がないこと

この4つがポイントになるかと思います。

 

参考文献

日本におけるCOVID-19妊婦の現状~妊婦レジストリの解析結果《2022年9月20日迄の登録症例》